女医界という大学同窓会雑誌が送られてきます(私は女子医大出身なので)
大先輩からのメッセージということで
最近の女医の心得や女医の服装についての記事から考えた事
この記事には
「患者さんは奇麗な着物を着る事も化粧もできずに病気と闘っているのですから、女医は口紅を塗ったりアクセサリーをつけて患者さんと接してはいけません」というメッセージがあります

はい。私も確かに化粧をすることも口紅を塗る事もなく私も医療に従事しておりますが、私の場合はただ単に化粧するという手間ひまを(さぼって)かけていないだけ、という話もあります。昔、ユニセフ親善大使でアフリカを訪問した時の黒柳徹子さんのいつもどおりの派手ドレスを見て「アフリカではあのドレスは場違い」だと非難があり、徹子さんが「いつもどおりの格好をしないほうが相手をバカにしているようでよくないと思った」とかいう主旨の返答をしたことをなぜか思い出しました。実際、女医さんの中には、きれいに(お化粧)することは最低限のマナーであり、患者さんに対してもそうして接するのが大切だと思っているひともいっぱいいるかと思います。患者さんからの立場でも疲れ切って身なりかまわない女医さんよりも、女医さんらしくふわっとピンクの頬の先生を好むということもあるかもしれませんよね。
イギリスでは、外来業務に従事するのは「コンサルタント」という日本で言うと講師以上教授助教授レベルまで含む専門トレーニングをすべて終って試験にも通り経験豊なドクターだけなのですが、外来でも(病棟でも)、コンサルタントは全員英国らしいテーラードスーツにネクタイ姿です。だだっぴろい廊下を歩いてそれぞれのコンサルタントのけっこう大きい個室まで行き、診察を受けるのですが、部屋に入るとこの立派なスーツ姿のドクターがにこやかに立ち上がり、挨拶をして握手をしてくれます。もうそれだけで緊張して痛い事を忘れてしまいそうな圧倒的な雰囲気なんですよ。そんなえらい先生に20分も話をきいてもらえるので、何の治療もなくても、満足して帰って行く場合も多くあるわけです。このイギリス風診察風景を見慣れて私は帰国直後はなるべく(握手まではしないけれども)挨拶をし、名前を名乗り、ゆっくりと満足のいく丁寧な診察にしようと心がけていましたが、半年たってそれはだんだんできなくなってきてしまいました - 予約時間は10分、予約外の緊急や緊急でない患者さんが間に入れば、そんな挨拶までもの時間が惜しい。そんなことで、やっぱりなかなかできなくて悩ましい。
最近BBCニュースを見ていたら、イギリス医師のスーツネクタイ着用ドクターの習慣を何とか変えて行こうと(今更ながら)いう動きがあるようです。

やはり、ネクタイや長袖のシャツ、そして時計やアクセサリーについたばい菌は手荒いでなかなか除去できずに、院内感染を起こしているのではないかという懸念が強くなって来ているからというのが最大の理由で、それ以外にも、動きづらさ、実用的でない、クールビズに反するから、などなどさまざまな理由もあるのでしょう。新しい動きは、ネクタイ禁止、腕時計禁止、指輪禁止、白衣は半袖のみ、という方向にいってるらしいです。この前、札幌クラーク病院で北大の先生とお話をしていたら、北大の外来では、(整形外科)医師は(教授の意向で)ネクタイ着用を義務づけられているのだそうです。これはそろそろout of dateになりつつあるかな?義務づけられて反対の声があってもおかしくない。しかし教授にそこまで権限があるところも日本らしい話ですよね。
純粋な星の王子様は大人が見かけで人を判断することを批判して、「大切なのは目にみえないこと」という名言を放ちましたが、大人の世界ではそうだからといって汚い格好をしていていいという理由にはならないのです。ジーンズにスニーカーを履き、茶髪の女医さんに診察してもらえば、彼女の言っていることを信頼できないと思うのは必須ですよね、大人というのはその外見にも責任をもたなければいけないと思うのです。そう、服装だけでなく、顔にも表情にも、そして声やいいかただって、大人というのは相手によってその場によって「ふさわしく」変えるというのがわたしはかっこいいと思います。
イギリスで英語を母国語にしていない私のようなひとに普通のスピードで話しかけてくる英国人同僚と、わざとゆっくりしゃべってくれる同僚と2パターンありました。普通のスピードで話す同僚は「(わざと)ゆっくりしゃべるのは(相手をバカにしているみたいで)失礼だから」と言っていましたし、ゆっくりしゃべってくれる同僚は「なるべくスラングを使わずにわかりやすく話しかけるように心がけてる」と言ってましたが、どっちがいいのか、一概には言えません。あえて言うならば私だったらやはり相手になるべく合わせようとするだろうと思います。患者さんでも、医療従事者の患者さんから、認知の始まった患者さんまで様々、ひとりひとりに合わせた言い方をしなければいけないと思っています。
開西病院のT先生は、名札をつけない、PHSを持たない、名前を最初に名乗って挨拶しない、というのには先生なりのスタイルと理由があるとおしゃっていました。深い理由まではまだ伺っていないのですが、ね、こうやって考えてみると面白いでしょう。今度ゆっくりお話きいてみたいと思います。ちなみにT先生はPHSを持っていないのに、ピンチになって困っているといつのまにかまるで助けを呼んだかのように現れてくれる「血の匂いをかぎつける(?)」嗅覚の持ち主です。私にはそういう第六感やスタイルがないので、とりあえず女子医大の先輩のいう、「化粧をしない女医」、そして新しい流れである「腕時計をしない、指輪をしない」方法を採用してみようかと考えている今日このごろです。
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