ここに来る前に少しの間だけ、フランスのサボワ地方アヌシーというところに住んでいましたが、フランスという国はほんとうに住みやすいところです。
毎年多くのイギリス人がフランスに移住するらしいです。どちらにも住んだ事がある私は実に納得してしまったわけなんですが、特にここで触れておきたい事は、医療システムのこと。
フランス語の教科書からのコピーなのですこし歪んでしまっていますが、フランス人は全員もれなくこんな感じの医療用スマートカードをもっています(矢印)。

これを持っていると自分の受けた医療のデータがスマートカードに保存されるため、お薬の内容はもちろんのこと、アレルギーなどの大事なデータが病院のPCで読み込むだけで一発で明快に分かるんだそうです。レントゲンやCTなどの画像が入っているのどうかは分からないのですが、もしそれも入れられるなら、、、私がずーっと思っていた理想的なシステムに近いと思ってかなり感銘うけました。
以前から思っていた事 ー それは患者さんのデーターの扱い、病院間で全く相互情報交換がないということ、が時間もコストも無駄なんですよね。
例えば、最近、患者さん(仮名)鈴木さん。腰痛と発熱で、近医の(仮名)白井内科を受診。そこで採血をされ、抗生物質の点滴を5日間ほど受けました。鈴木さんは一旦よくなられたようですが、またしばらくして腰痛がぶり返し、今度は整形外科(仮名)赤井クリニックを受診。そこでレントゲン、また採血をされ、点滴と投薬をされました。あまりよくならなかったため、その2週間後に開西病院を受診。
鈴木さんは私に一生懸命説明してくれるのですが、私は鈴木さんの血液検査の結果や点滴の内容、いつからいつまでされたか、どんな薬を飲んでいたのか、などなどを全部把握するのに大変でした!白井内科に電話してそこの内科の主治医を呼び出し、次に赤井クリニックに電話して整形外科主治医に質問し、気がついたら半日費やしてしまったわけです。それでも、前の病院で施行されたレントゲンも見れないし、正確な血液検査の値もすべて把握することもできませんでした。それでは治療を開西病院でする場合にも、どのお薬(抗生剤)を使ったらいいのか非常に迷って、結果としてはそれだけ治療を開始する時間も遅れて行きます。
スマートカードの一枚があればって恨めしく思います。
もしかしたら、患者さんの立場では、白井病院と赤井病院の間では、鈴木さんのデーターのやりとりをしていないんだってこと、ご存知ないのでしょうか。処方や点滴さえた薬の詳しい名前を覚えておきなさいっというのは到底無理かもしれませんが、自分の身に何が起こっているのか知っておくべきだと思います。病院を移る際にはせめて何かにメモをとっておいたり、コピーをもらっておいたりとかしておかないと、何度も同じ検査をすることになり、そのコストを支払うのは鈴木さん自分(そして払っている税金)なんですよね。
そして個人情報保護法という難しい法律のせいで病院側も個人情報のやりとりに四苦八苦している状態です。つい先日も、(仮名)黒井外科に患者さんの手術前のデーターを送って欲しいとお願いしたら、かなり渋られていやいや一部のみ送っていただく事ができました。自分のところを受診していた患者さんがいつのまにか他の病院にかかっている、ということを私のように医療者が他の病院に電話をして知らせ、資料を要求すると何となく角が立ちやすいということもあるようなんです。
鈴木さんの個人情報は鈴木さん自身が要求をするには全く問題がないので、もっと自分の医療データーに興味と関心をもって、しっかり自分自身の個人情報を自分で管理しておくのは大切なことなのではないでしょうか。
フランスのスマートカードのような効率のよいシステムが出来るまで、まだまだ遠い道のりでしょうから...
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