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2005年10月20日 患者学;医療はどこまで患者中心になれるのか 1

 医学部での自主選択の授業として、「患者学;医療はどこまで患者中心になれるのか」が先週の木曜日10月13日より始まった。

 拙著「患者の生き方; より良い医療と人生の患者学のすすめ」(春秋社)のあとがきにも書いたが、これからの医療を良くするには患者自身が代わらなくてはいけないし、医学教育そして医師の意識の改革も必要だろう。

 「患者にとっての患者学」と「医療者にとっての患者学」の両者が必要とされている。
 昨年より慶應義塾大学医学部の自主選択科目として、「患者学;医療はどこまで患者中心になれるのか」をとり上げてもらった。そこでは、色々な臨床上の問題を、教師が教えるのではなく、学生同士がディベートし、考えてもらう授業にする予定であった。

ところが、それに応募してくれた医学部の学生は一人であり、私と一対一の授業になってしまい、ディベートを活用することはできなかった。私は少々がっかりしたが、初めての年として準備期間と考え、一緒に勉強会とした。

医学部の授業では憶えなければならないことが多い。そうなると、どうしても受身の勉強になりがちだ。そのような中で、自分で考えられるような授業を作り上げたいと考えた。うれしいことに、本年は2年目で、20人の医学生が選択してくれた。私が定員としてあげた人数一杯になった。

昨年は医学部に籍を置いていたが、今年は看護医療学部に転籍した。キュアの担い手を医師とすれば、ケアの担い手を看護師に期待したいと考えている。それでも、医師にもケアの視点をもってもらうことは必要だ。医療におけるケアの担い手ではなくても、少なくともその重要性を理解できる医師が増えることが、日本の医療改革には欠かせない。

本年の募集は、以下のようなシラバスによった。ここで示した話題に興味を示してくれる医学生が増えていることはありがたい。このような貴重な医学生を大切に育てたいと思う。

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 「医師中心の医療」から「患者中心の医療」への転換がさけばれている。一方、医療は科学の発展とともに専門化、高度化、先進化し、医師でさえも自分の専門外の医療に関しては理解が難しい。また、科学的アプローチとは客観視することであり、患者を共感でなく客観的に診ることが強いられる。そして、医学を学んだ医師は、多くのエビデンスや情報に支えられて、プロフェッショナルとして決断すべき裁量権がある。

 このような背景の中で、医療はどこまで患者中心になれるのか、また、患者中心の医療を実現するためには、どのようにすべきかなどを、なるべく具体的な症例や事例をとおして学ぶことを目的とする。
症例や事件をとおして、その背景となる知識を自分で調査し、考え、討論する場を学生に提供したい。問題点を見つけだし、それを解決すべき能力をつけること、対立する二つの立場を理解しながら、最終的に自ら判断し調整する能力をつけること、医療倫理を自分自身で考えることを身につけることを目標にセミナーを行う。

 今、医療は大きな改革期を迎えている。これから求められる医療を真剣に考え、討議し、新しい医療の潮流をつくりたいという医学生の積極的な参加を募る。

参考図書・教科書

1. バ−ナ−ド・ロウ 「医療の倫理ジレンマ 解決への手引き 患者の心を理解するために」(西村書店)
2. 新山恒彦「胆管がん放浪記」 (毎日新聞社)
3. 加藤眞三「患者の生き方;よりよい医療と人生の患者学のすすめ」(春秋社)
4. JAミュア・グレイ 「患者は何でも知っている;EBM時代の医師と患者」(中山書店)

投稿者 katos : 2005年10月20日 17:24
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コメント

 こんにちは。
 受身的な授業でなく、しんぞう先生の自主的に考えながら学ぶ授業を受けられた医学生のかたがたに何かしるしを付けておいてもらえたら…と、ふと思ってしまいました。
 現場に出られたしんぞう先生の教え子が、どのような医療を実施なさるのか知りたい…。
 やっぱり、長生きせねば(^−^)

投稿者 行灯さん : 2005年10月21日 20:29

スポーツのコーチは楽しさを教えます。ボビー・バレンタイン監督率いるロッテが今年パリーグ優勝したときには「体育」や「野球」ではなく、「スポーツ」や「ベースボール」をしているチームの素晴らしさに共感しました。
野球を教える指導者は勘違いして、スパルタ指導で中学生を死亡させたり、高校生には鉄拳指導とタバコ、プロ野球はオーナー独裁でファン離れと壊滅状態です。

医学部の教育は大量の知識を詰め込みますが、特に臨床教育の醍醐味であるコーチングは教えません。僕は以前は「薬」中心の治療でしたが、生活習慣病指導のポイントは「食事」、「禁煙」、「運動」と悟りました。生活習慣の指導は楽しいですよ。学生の教育も同様ですね。教えちゃダメです。患者さん指導の楽しさ・面白さを体感させると、研修医でも学生でも一気に臨床パワーが伸びます。医学部の学生の授業が来月ありますが、患者学の要素も是非入れたいと思います。紹介頂いた本を読んでみます。

といいながら、阪神ファン・ガンバ大阪(J1)・京都パープルサンガ(J2)のサポーターであるスポーツ内科医でした。

投稿者 スポーツ内科医さん : 2005年10月22日 00:06

1番以外のご著書はすでに読みました。
そして、ただいま上記のお三方の先生方のコメントを読ませていただきました。素晴らしいお話です。

どうか、医学教育の現場に新風を吹き込んで下さい。新しい取り組みとして、この患者さん側に立った医療の重要さを諭してくださり、そのためには患者学を加味することで如何に能動的に効果的になるか、さらには医療者自身のやり甲斐にまで結びつくかということを、ご指導いただきたいと思いました。
(一父兄の立場から・・ぜひお願いいたします。)

投稿者 水井さん : 2005年10月22日 11:59

行灯さん。 教え子といえるほどの関係になるかどうかですね。特に私が教えるのでもありませんし、他の授業も沢山あるので。

しかし、自分でも影響を受けた教師というのは、その授業時間数にも関係ないし、話を聞いた時間とも関係がないような気がします。後で振り返ると、あの時のあの先生に影響を受けたのかなというようなもので僧ね。

スポーツ内科医さん。  コーチングとかエンパワーメント、ソリューション・フォーカスト・アプローチなど共通するものですね。患者教育も、学生への教育もこの方向へ変わっていくべきものと思います。

とはいいながら、今 阪神ファンは、バレンタイン魔術に穏やかではないでしょうね。

水井さん。 患者中心の医療は、医療者にとっては不幸なのか? これも一つの患者学の命題です。 私は、そうではないと思っていますが。

投稿者 しんぞうさん : 2005年10月24日 00:29

このサイトは患者中心の医療を目指すという元来にない医療サイトだと思うので、患者が感じていることを一言。
過去には、医師達の大半が、自分達はプロ、君達に話しても、どうせわからいよ、という考えの人達が多かったと思います。しかし患者に接する場合はそうですが、一方では自分の行った医療行為に自信のない医師が多くいたことも事実だと、思います。それが故に、薬の名前を教えない、検査内容を教えない、検査結果を教えない、カルテは見せない、情報はなるべく出さない。しかし、これらは、全て教育にあったと思います。医学部での悪い先輩、臓器主義に原因があったのではないでしょうか。
誰のための医療か、誰のために医療を行うのか?今、目の前にいる人をどうすれば助けられるか。自分がもっとも好きな人だったら、どうやって救うか?この基本ができていれば、医療不信、医療過誤は起こりえないし、患者中心の医療になると思います。

投稿者 患者Aさん : 2005年11月03日 06:05

患者Aさん。 鋭い指摘ですね。中々すぐに返答がかけずに遅れましたことお詫びします。返答の難しい内容であったため、後に回してそのままになっていました。

自分の行った行為に自信がない医師が多いのは、ある意味で事実です。であるからこそ、専門分野に逃げようとしているところがあります。

すべてが、教育のせいであったというのは、間違いではないと思いますが、それをどこから変えていくかを考えて行きましょう。

医学部の内部から変えていくことは当然大事ですが、それを変えるべき教育をする人はどこに求めるのでしょうか? 悪い先輩を一掃してどこから持ってくるのでしょうか? そして、それは、誰が行えるのでしょうか?

そのように考えると内部からの改革は相当難しいのではないかと思います。

私はやはり患者さんの声が反映されてこそ、変わっていくのではないかと考えています。その意味で、患者さんの側から変えるためのアプローチもしてほしいと願っています。

地元への利益誘導や利権に群がる政治家を許してきたのも、日本の国民であり、父権主義の医療を許してきたのも国民であったのです。

投稿者 加藤眞三さん : 2005年11月10日 16:40



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詳しくは「ご利用上の注意」をご覧ください。

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