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2005年08月11日 学会って何だろう。

学会って、よく聞くけれども一体何をやっているのかとの質問をうけます。
学会と医師会の関係もよく解らない。そんな質問に答えるために、学会について考えてみます。

学会とは学術のための集会、学術集会を短くしたものであり、専門家が集まり科学的な研究の成果を発表し、そこで意見を交換しつつ専門家としての情報の普及を図るための集まりです。

わが国には、日本医学会(http://www.med.or.jp/jams/index.html)という医学に関する学会の総元締めがあり、そこには100近い分科会(いわゆる学会;日本内科学会、日本外科学会など)が登録されています。この分科会として登録されている学会以外の研究会が、またそれの10倍以上はあり、日本には公式・非公式を含めて学会が数え切れないほど多く存在しているのです。

第二次世界大戦後、昭和23年より日本医学会は日本医師会と合体し、日本医師会(http://www.med.or.jp/)の中に日本医学会がおかれる構造になり、話がややこしくなります。つまり、日本医師会の活動は、実質上は開業医の利益団体としての性格が主たるものなのですが、医学会という学問の分野も支配下に入れている構図になっているのです。

もちろん、プロフェッショナルの団体としては、医学という学問を研鑽する職業集団でもあるべきなのですが、学問的研究をしている人と医師会とは遊離しているのが現状だと思います。また、勤務医も本来は医師会の構成メンバーなのですが、医師会の中での発言権は殆どなく、勤務医も医師会活動には関心を示さないという関係性が続いています。つまり、学問・研究をする医師、病院勤務する医師、開業医の間に、大きな溝があるのです。この辺については、改めて記事にしたいと思います。

学会は、本来専門家ばかりが集まる集会ですから、専門用語が使用されて当たり前です。専門用語を使うことにより、より短い言葉で誤解を少なく効率的に情報の交換ができます。このような場では、その分野における専門用語を知らない人は不勉強の輩として蔑まれ、相手にしてもらえません。「それ位は自分で勉強して来い」といわれるのが関の山です。

そのため学会で活躍している医師が、実際の診療にあたると問題が生じることがあるのです。つまり、医学会の専門家の間の会話をそのままの形で、患者さんに対して使用されてしまうのです。学術集会とは、目的がその分野の学問のレベルを高めるにありますが、診療の本来の目的は患者さんの訴える要求に対して医学をどのように利用するかにあるからです。

つまり、医学という学問が先にあり、医学を修めその学問を適応できる患者を探すのが医科学者であり、病を患う患者の存在が先にあり、医学を何とか利用できないかと治療にあた髏lが臨床医であろうかと私は考えているのですが、この二つの目的が根本的に異なっていることを意識せずに、診療活動に当たっている医師も多いのではないかと思います。

そして、大学の医学部では、やはりサイエンス(科学)が至上となりがちであり、研究業績を重視します。そこで若い医学生や卒後研修医が教育され、世の中に医科学者が拡大再生産されてきたのです。

続く。

投稿者 katos : 2005年08月11日 08:13
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コメント

先生、記事ありがとうございます。
学会ってたくさんあって、先生方も迷われるのかなって思ってしまいます。
肝臓についてはラミブジンの服用時は専門医に・・・ってよく書かれていますが、
肝臓学会に入られていない先生でも
消化器病学会に入っておられる先生なら肝臓のことに
ある程度詳しくって、興味のあるものなのですか?
先生によると思いますが、どうしても専門外だと
嫌がられたり、熱心に診てもらえない気がしてしまうのです。
逆に専門医って、学術論文の対象を探しているだけに
見えてしまいます。
前の先生に一度専門医に診てもらった方がいいか聞きましたが、
専門医もあてにならないよって言われました。
なるほど、いろんな本を読んでいると、学会費を払っていれば何年かで専門医を名乗れるのだとか・・・
前の先生のところへ病院を変えようかと相談させていただきましたが、
その病院の消化器内科で肝臓学会に入っていないのは
その先生だけだったのです。
迷惑かなって思ってしまいました。

続きを楽しみにしております。

投稿者 くまさんさん : 2005年08月13日 00:05

先生の記事を読んで納得
「売名行為」かなと思っていた先生も医科学者の可能性大、逆に超有名でも臨床医の先生もいますよね
患者には判らない事もこの記事を読んで、「ああ、あの先生は医科学者なのか」なんて判ってきてしまいそうです
くまさんさん(もう1つさんが必要かな?)横レスで申し訳ないですが、消化器の範囲は広く、開業医さんでは胃腸科が多いと思います
基礎的な知識はあると思いますが、あまり専門的なことは解らない場合も良くあります
周りに専門医がいれば協力して治療に当たってくれるとは思いますが(希望的観測)
やっぱり専門医の方が安心できるとは思います
ただし専門医が絶対とは思いませんが
クリニックの先生でも専門医ではなくても勉強している先生もいることは事実です

投稿者 sasadonさん : 2005年08月13日 02:21

くまさん。 専門医でも何のために診療をやっているかによって違ってくると思います。研究の対象としてやっている人もいれば、自分の興味のある対象疾患の患者さんを診ることを楽しみにしている人もいますから。

消化器内科でも内視鏡などで消化管だけに興味を持つ医師もいれば、消化管を主にしても、患者数の多い肝臓病患者にも診療に当たっている医師もいると思います。C型やB型の慢性肝炎は、多い疾患なのでまじめな先生であれば、本当の肝臓専門医でなくても診ていて問題ないと思います。自己免疫性肝炎や原発性硬化性胆管炎、高シトルリン血症など、数の少ない珍しい病気では本当に肝臓を専門とする医師が良いのではないでしょうか。典型的な慢性肝炎であれば、それ程肝臓専門医ということにこだわらなくても良いようにおもいます。

sasadonさん。そうなのです。余り悪気もなく、単に病気に興味があるだけの医科学者もいることは確かです。

上にも書いたように、通常のB型やC型の慢性肝炎や肝硬変ではそれ程専門性にこだわらなくても良いようにおもいます。ただし、超音波の診断能力が大切でしょうね。

投稿者 加藤眞三さん : 2005年08月15日 01:03

sasadonさん、コメントありがとうございます。
私も、前の先生の病院に以降かと思った時は、その希望的観測
に期待していました。今の病院には、肝臓専門の先生はおられません。

加藤先生、学会に入るには、それぞれの思いがあるのですね。
自分で先生の思いを感じていくしかないのでしょうか。
先生、ラミブジンを飲むにあたっては、
消化器病学会に入られていたら大丈夫ってことですね。
でも、自分が今ラミブジン治療に踏み切れないのは、
主治医の知識が不安ではないようです。
個人を診てくれていると、
今の先生には、まだ感じられないからだと思います。
「みんな喜んで(ラミブジン)飲むけどなあ。」という言葉が
なぜか辛いです。

前の先生も、専門医を当てにするなと言う限りは
肝臓の事も勉強してくれていたと思います。
「僕で手に負えない時は、専門の先生に診てもらうから。」
ともおっしゃっていましたから。
ただ、学術論文を割と書かれているようで、医科学者の可能性もありますが・・・。
移られた病院には学会に数多く入ってらっしゃる先生が勢ぞろいしてますし、
内視鏡治療に力をいれているようですから、今猛勉強されていることでしょう。

投稿者 くまさんさん : 2005年08月16日 18:12

 くまさん、横レスのB型肝炎患者です。
 医療界には、たくさんの学会があります。
 日本肝臓学会、日本消化器病学会、日本内視鏡学会、日本超音波医学会・・・。肝臓病に関係する学会だけでもまだまだあるようです。

 学会に入っておられるドクターの中で、「専門医」や「指導医」の資格を持ったドクターもおられます。この方々の方がもっと専門性を持っておられるでしょう。
 でも、B型肝炎の抗ウイルス療法は、この専門医の中でも対処法が違うようです。
 一応、厚生労働科学研究の研究班でガイドライン
    http://homepage1.nifty.com/ogurika/data/kan/04con110._HBV.pdf
ができていますが、くまさんが書いておられるように、

>個人を診てくれていると、

という感じが大事だと思います。B型肝炎の治療、特に抗ウイルス療法は、「肝臓専門医」の資格を持っているだけでは、患者サイドとしては安心できないと思います。

投稿者 sinさん : 2005年08月16日 22:56

くまさん。 学会に入っているというだけで判断できるなら簡単ですが、現実はそれ程簡単ではありません。

特に、このラミブジンの使用に関しては専門家でも意見は分かれます。私は適応をかなり絞っていましたし、日本全体でもそれ程販売量は伸びなかったのです。その適応も、アデフォビルが使えるようになった今と、使える前では、かなり異なってきます。

また、sinさんの引用されているガイドラインにはインターフェロン離脱療法が書かれていますが、実際にはこの療法を行っている施設はほとんどありません。むしろ、その療法にあまり慣れていない施設で行うことは危険であり、私はお勧めしません。

投稿者 加藤眞三さん : 2005年08月17日 01:35

Sinさん、ありがとうございます。
ガイドライン見てみました。
個人差が大きい肝炎では難しいでしょうが、
もっと詳しいものができたらいいなと思います。

私がここ1年、毎回ラミブジンの説明を受けるときには、
多分製薬会社のパンフレットと思われますが、
年齢とウイルス量、GPTの値でラミブジンかウルソか・・・
みたいな表をみせていただいています。
私の場合、ウイルス量もGPTも高くなりますが、
2,3ヶ月で正常値になるのでなかなか踏み切れません。
どっちつかずって感じです。
ラミブジンを毎回勧められるので、
もう質問も返す言葉も尽きてきて、
とても心苦しくなってしまうのです。
「はい、是非に」と答えたらどんなに楽になるか知れません。
飲んでもいいかとも思うのですが、
これから、それこそいろいろな気持ちを話せる
先生ではないと、とも思っています。

加藤先生、先生の病院が近くなら・・・
とつくづく思います。いつもありがとうございます。
仕事で、とある病院の内情を知ってしまい、
患者として大きなショックを受けました。
患者の押し付け合い(私も嫌がられているのではないのかと臆病になりました)、
患者の言いなりになったいい加減な投薬、
そんな先生に限って学会にもたくさんはいっておられ、
専門医の肩書きももっていらっしゃる。
「それは関係ない」と、患者の話をさえぎる。
ある若い先生は患者の話をまずゆっくり聞いてあげていました。
3時間待っても、患者にとって満足の得られる診察でしょう。
若い先生もいずれ、変わってしまうのでしょうか。

投稿者 くまさんさん : 2005年08月18日 00:28

くまさんさん、ある肝臓専門医、指導医のラミブジン治療に関する見解です
すでにご存知なら聞き流してください
専門医の中でもいろいろ意見が分かれるようですね
この先生のやり方は一般の病院とは異なるようです
劇症肝炎の治療経験に裏打ちされた自信が感じられます
ある程度の経験がないと難しい治療法だとは思います
ある意味医師を選ぶのは患者です
本当に命を任せられるかという選択は究極かもしれませんが、患者としては納得した治療を受けたいものですよね
「医科学者」ではなく、病気を患者と供に治したいと考えている先生に巡り合えたら何て幸せなんでしょう

くまさんさんに見合った治療を受けられますよう

先生ちょっとでしゃばってしまいました
ごめんなさい

投稿者 sasadonさん : 2005年08月18日 23:03

sasadonさん、いつもありがとうございます。
先生のように経験も豊富で、患者の事もとてもよく診てくださる事がはっきりしてればいいのですが。
私自身も、今の主治医の心に触れる事ができますよう、もう少し頑張ってみます。
肝生検はしたことがありませんが、
超音波では、まだ肝臓はきれい?らしいので、
勉強しながら、ゆっくり考えて行きたいと思います。
皆さんが親身になって下さるので、とても心強いです。
本当にありがとうございます。

投稿者 くまさんさん : 2005年08月19日 13:38

クマさんさん、うまくリンクはれなかったようなので改めて

http://www.hpmix.com/home/fujichan/C4_4.htm#4

投稿者 sasadonさん : 2005年08月21日 00:57

いわゆる医科学者の方々が、いろいろと基礎研究などをして、治療法や薬などを開発していく、そういったサイドの研究を、実際に臨床に応用していって、その結果をうまくフィードバックするのが、臨床家サイドの「研究」なのかな、と思っています。

 研究業績重視のことに関しては、「論文を何本書いた」というのが評価の対象になっているのが、自分的には変な感じがします。

 あと、そんなにインパクトファクターの大きい重要な論文って、一人がそんなに書けるものではないと思います。欧米の優れた研究のなかには、気が遠くなるほど長期間の観察をいれているものなどあり、そういった研究は、「何本」と数で評価される社会、あるいは一発屋で当てに行くような研究が評価される社会では出てきにくいのかも知れませんね・・・。

投稿者 foobirdsさん : 2005年08月22日 00:40

sasadonさん。 与芝先生は私の尊敬する肝臓医の一人です。劇症肝炎にも果敢に取り組み大きな成果をあげてこられました。ラミブジンやインターフェロンの利用も免疫に揺さぶりをかけるわけで、劇症肝炎となり命に影響を及ぼすこともあります。与芝先生のところのように劇症肝炎の治療に多数当たってきたところや熊田先生のようにステロイドリバウンド療法の経験の多いところでないと、危険を伴う治療であることを十分に理解をして欲しいと思います。
つまり、同様の治療を他の施設で行っても良い結果が保障されるわけではありません。

foobirdsさんのおっしゃるように本当に重要な研究は、それ程数が多いわけではありません。しかし、研究の方はまだ評価し易いのですが、臨床や教育はその評価が難しいし、それぞれは性質が異なるため、一つの数字にまとめることはもっと難しい作業となります。

投稿者 加藤眞三さん : 2005年08月23日 01:51

くまさん。 近日中に私のラミブジンに対するスタンスを書きたいと思います。何れにしても、くまさんの状態からは一刻を急ぐ治療ではないかと思います。

投稿者 加藤眞三さん : 2005年08月23日 19:59

先生、実は私の主治医は与芝先生なのです
私の住まいから近いので今までかかっていた主治医が転勤するさい、希望してみてもらっています(大学病院ではありませんが系列です)
実際医科学者でもあるとは思いますが、スタンスは臨床医で、診察の際も質問には真摯に答えてくださり、とても感謝しています
非常に専門的な質問にも嫌な顔をせず、かえって笑顔でいろいろ答えながら教えてもらってます
私の偏見もあるでしょうが、こんな先生がもっともっと増えるといいのですが
あの治療法は確かに危険を伴う治療法です
リンクを辿って劇症肝炎のマニュアルを見てもらえば安易にまねしないことと書かれています
劇症化に対処できないところでは無理でしょう
ただ作用機序を知るうえでとても参考になると思います
先生のスタンス、楽しみにしています
新薬が認可されたこともあり、危険を伴わない治療が出来るといいのですが

投稿者 sasadonさん : 2005年08月23日 23:27

sasadonさん、与芝先生のコラム読ませて頂きました。
豊富な経験に基づかれた力強いものでした。
ありがとうございました。

加藤先生、お忙しいのにありがとうございます。
「患者の生き方」に出会ったことで、
先生にこうして話を聞いて頂けるなんて
本当にうれしいです。

投稿者 くまさんさん : 2005年08月24日 14:57

sasadonさん。 与芝先生は臨床的な研究と日常臨床のバランスのとれた素晴らしい先生です。しかも、僧侶でもあるのです。慶應大学の劇症肝炎への組織的な治療も与芝先生に講演に来てもらってから始まりました。

くまさん。 これからも色々な質問を寄せてください。歓迎します。

投稿者 加藤眞三さん : 2005年08月26日 17:35



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