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2005年08月04日 極端に高額となってしまった米国の医療

米国では医療費が高額であることは有名であるが、一体どれだけ高額なのであろうか?
米国の保険会社であるAIUのパンフレットには、国際都市での虫垂炎による入院費用の比較が載せられている。国際都市の中では、ニューヨークが断トツに高い。一日の入院で約240万円という。

ロスアンジェルス、サンフランシスコ、ボストンと続き、それぞれ一日で160万円以上かかるのだが、その後には、5位の香港153万円4日間、6位のロンドン114万円5日間であり、7位は台北64万円5日間と急激に低くなる。因みに、パリは48万円(4日間)、日本は38万円(7日間)である。

一日当りの費用に換算すれば、日本の5万円強に対して、米国では30倍の費用がかかることになる。それだけ病院が重装備であり、コメディカルを含めてスタッフ数も多く、病院の維持に費用がかかっているのであろう。しかし、虫垂炎の手術は、もはやどの国でも先端医療ではない。どこの国でやろうが結果に大きな差はない。むしろ、米国ではこれだけ高額となると患者さんが恐くて病院に行けなくなり利用が制限され、手遅れになってしまうことが危惧される。そして、余りにも入院の費用が高額であるために、入院期間も短くしている。米国以外の世界の各国では4日から7日間の入院期間をとっているのに対して、米国だけ1日といかにも無理をして短くしていることが理解できる。近くのホテルから通院するという不便も強いられてしまうのだ。

これは医療者だけで理想を追い求めた結果ではなかろうか。少しでもよい医療を提供するためにと、どんどん病院を重装備にすれば、医療者にとっては安心だしその内容に満足できるだろう。しかし、社会はその負担に耐えられなくなる。

米国の医療をどう評価するのか。これだけの高額な費用をかけていれば、素晴らしい環境で手厚い医療をうけていても当然ではないのか。米国を追いかけようとする日本の医療、そしてその上で医療費を抑制しようとする政策に、医療の現場で医療者はあえいでいる。

投稿者 katos : 2005年08月04日 17:22
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コメント

身近な具体例を挙げていただき、非常にわかりやすい比較ができました。米国、特にNYで住民が「命がけで健康維持」する一因がこんな所にあるのやもしれません。

ハイレベルな医療を行うことが自己目的化する怖さ。
医療者の志の高さと、実際に患者が受ける治療のレベルとは必ずしも比例しないのですね。保険制度だけでなく、行政が医療サービスをどう捉えるかの姿勢に国民が振り回されてしまう・・。怪談より怖い現実です。

投稿者 body&soulⅣさん : 2005年08月05日 07:02

こうやって数字でみると驚異です まったく信じられない思いです 虫垂炎なんて高度先端医療でないものまでこんなに高額とは!
ロンドンの数字はプライベートでかかると、ということなのでしょうかね、香港に住んでいるbobbyさんという方から以前コメントを頂いたときには、香港ではどの病院にかかるかによって値段がピンキリで変わってくるとおっしゃってたので、この香港の数字は、同様の水準の医療を受けるとして、という仮定なのでしょうね 

投稿者 ニノチカさん : 2005年08月06日 18:43

 C型慢性肝炎の患者です。具体的な数字で分かりやすくご説明いただき有難うございます。私は海外の医療事情に疎いのですが、少し不思議に思った点がありますので質問させていただきます。

 通常の商行為では、一般的に日本と比べ米国の方が、需給バランスが価格に反映されやすいと言われているようです。地域差はあるとは言え、日本で38万円でできることが、米国で160万円以上の値付けで持続するというのはなぜなのでしょうか。日本のコストが妥当なものであれば、160万円以下の値付けで医療サービスを提供する病院等が出てきて、やがては38万円という価格に向け収斂していくように思います。需給調整が行われにくい規制などがあるのでしょうか。(日本の38万円が規制等で強制的に安くされている、或いは、アメリカの160万円が強制的に高くされている等。)
 更には、仮に日本の38万円が意図的に低報酬で抑えられているとした場合、逆に他の医療行為が割高になっていなければ医療行為を行う側の帳尻が合わないと思いますけれども、そのあたりはいかがでございましょうか。

可能な範囲で結構ですので、お教えいただけますと幸いです。

投稿者 湧く茶さん : 2005年08月06日 22:48

訴訟社会のアメリカ、医療過誤があったならどれだけ損害賠償を請求されるのか
そんな背景もあって重装備にならざるを得ないんじゃないか
そんな気もします
方や日本はまねっこが得意だから、重装備を目指しつつ、でも診療報酬は低い
患者にとってはいいことかもしれませんね
でも病院の財政は圧迫されてしまいますから、多くの患者を見て効率を上げる
そうなると5分間診療や3分間診療は当たり前
そんな短時間で患者の状態をきちんと把握できるのでしょうか?
ある専門医が講演会で言っていました
検査機器を車でたとえて、「ベンツも軽自動車も同じ保険点数です であるならベンツに乗るほうがいいでしょう」かくして大病院ほど混雑する(悲)

投稿者 sasadonさん : 2005年08月08日 00:18

B&Sさん。ニノチカさん。 これはAIUという海外での保険を対象とした会社の調査ですから、その地域での特別に高い医療機関のものというよりは、平均的な医療機関での費用と思われます。とにかく、アメリカが断トツの高さです。

湧く茶さん。 湧く茶さんの言われる通常の商行為とは商品の移動の出来る範囲のことを想定しているのだと思います。しかし、医療は中々その地域から移動して受けることが出来ません。まして、救急となると、NYが高いからメキシコに行って受けるなどと言ってられないのです。もう一つは、カルテルのようにして、アメリカの医師会が強力に高額の医療を作り出していったのだと思います。

湧く茶さんのいわれる帳尻は、勤務医の過酷な労働条件で合わされているのです。そして、総医療費においても、日本はかなり抑えれれている現実がありますから。そして、それは待ち時間が長く診療時間の短い外来にもシワ寄せが来ているのです。
日本の医師がいかに少ない数に抑えられているかを次の記事として予定しています。

投稿者 加藤眞三さん : 2005年08月09日 15:04

sasadonさん。 ベンツのSLで田舎のあぜ道を走ろうとしても小回りは利きません。やはり、その目的にあった自動車を使うことが、本当は望ましいのだと思います。
その意味でも、大病院の超専門医の下に行くと、それなりに他の病気などの見逃しも多くなることを、患者さんには知ってもらわなければと思うのです。

投稿者 加藤眞三さん : 2005年08月09日 15:12

加藤先生、湧く茶です。補足コメント賜り有難うございました。
私は半年ほど前からある私立大学附属病院で治療を受け始めましたが、医師の診察が有る日、無い日の医療費自己負担額の差が数百円程度しかありません。専門性の高そうな診察の報酬が僅か千円程度?と不思議に思っていました。

一方、確か京大・橘木教授の書かれた高所得者分析の本だったはずですが、その本の中では安定した高所得の職業の一つとして開業医が挙げられていました。これは私の日頃のイメージにも一致します。また私が高校に通っていた頃も、両親や祖父母が医師、特に開業医である場合、医学部を希望する人が多かった記憶があります。私の子供たちの同級生でもはっきりとその傾向が見られるようです。

「勤務医の過酷な労働条件」と高所得の開業医、このあたりのギャップが素人の私などにはどうも理解しにくく、加藤先生が予定しておられる次の記事を楽しみに(という表現も変ですけれど)待たせていただきます。

投稿者 湧く茶さん : 2005年08月09日 22:02

確かに先生の仰る通りと思います
かくゆう私はカローラからマークⅡクラスのところで長時間の待ち時間もなく、融通が効く診療を、超有名専門医に見てもらってます
まあその先生の人間性がそういう病院にも外来で来ていただけるのだとは思います
見逃しを防ぐには当然医師の力量もあるとは思いますが、患者自身の勉強も重要と思ってます
私はC型肝炎ですから、肝臓関係は結構勉強し(医師には当然敵いませんが)自身の状態も把握しているつもりです
でもそこにあてはまらない状態があった時、「先生、なんかおかしいから調べてみてください」と言える事が重要と思ってます
治療の副作用で我慢すべき時は我慢しますが、そうでないときは先生と議論するぐらいの気持ちが有ったほうがいいと思います
なかなか言いづらいのも確かですし、先生も機嫌悪くなってしま、こともあるかもしれませんが、やっぱり自分の命ですからね
ひょっとしたら嫌な患者(苦笑)かもしれませんね

投稿者 sasadonさん : 2005年08月10日 01:58

湧く茶さん。 そうですね。湧く茶さんの言われるように技術料の評価が低いのが日本の医療の特徴だと思います。それで、薬剤とか検査に重点が置かれる診療になっている面もあります。
勤務医の問題はこれからも取り上げて行きます。日本の医療のレベルを底上げしているのは何と言っても勤務医ですから。

sasadonさんのような患者さんを自立する患者さんというのでしょうね。医師をパートナー(同伴者)というようにとらえる事はこれから大切なことと思います。

投稿者 加藤眞三さん : 2005年08月17日 01:50



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