MELIT:患者のための医療情報リテラシー
ヘルプ サイトマップ 縮小 拡大
みんなの声
melit.jp since 2005
・加齢御飯さん
(骨髄異形成症候群)

wwwを検索 melit.jpを検索
ご意見をお聞かせ下さい
MELIT:患者のための医療情報リテラシー

« 2007年04月記事一覧 | トップ | 2007年07月記事一覧 »

  2007/05/29 心の専門家

 私が勤務している学部では、社会学の他に心理と福祉の専攻があります。カウンセラーは女性の職業として人気が高いようで、心理学専攻には優秀な学生が集まってきます。しかし、臨床心理士になるのは大変。大学院で非常に厳しい訓練をうけて、その上で資格試験に合格しなければならないのです。高い能力が要求されます。臨床心理は、統計を駆使し、高度な理論で身を固め、対象を冷厳に眺める科学者のような人たちです。カウンセリングそのものを否定するわけではありませんが、科学者に人の心を癒す力があるのかという疑問を消し去ることはできません。

 死と向き合う、深刻な病気を抱えた患者がたくさんいる血液病棟には、しばしば臨床心理士たちが訪れて来ました。患者の精神的安定に寄与するという名分のもとに。みんな有能で誠実な人たちです。しかし、臨床心理士がなんなのかを誰も理解はしていません。相談をもちかける人もなく、なんだか宝の持ち腐れといった印象をもちました。

 こんなことがありました。6人部屋で、ただ一人のおじいさんは骨髄異形成症候群で回復の望みがありません。おじいさんのいらいらを鎮めるために、臨床心理士を看護師さんが呼びました。「なにかお悩みはありませんか」と彼女(心理の専門職は女性が多い)。20代か、せいぜい30代前半の若く美しい女性です。するとこのおじいさんは激怒しました。「あんたのような若造に、わしの気持ちが分かってたまるか!」。

 この女性がショックを受けて涙ぐんでいると、病室の若者頭Oさんが、彼女を部屋から連れ出してこう言いました。「あのじいさん気がたってるからさあ、悪気はないから許してやれよなあ」。いやはや。「心の専門家」が患者から慰められているとは。

 同室のハセガワさんは、白血病なのか悪性リンパ腫なのか判定がつかず、2ヶ月もこの2つの難病の間で宙吊りになっていました。当然、心理的に不安定になる。そこで臨床心理士の登場です。女性のカウンセラーが来て、ハセガワさんは彼女と一緒にどこかへ消えました。そこで一時間半あまり面接を受けたようです。帰って来た彼に、私はこう尋ねました。「心の安定は得られましたか?」。「関係ないっすよ。頭がよかったり学歴があることと、人の気持ちが分かることは全然別っすよ」とハセガワさん。

 「でも、すげー美人と一緒にいられてハッピーでした。気分も晴れましたよ」。なるほど、そのカウンセラーはたしかにすごくキレイな人でした。

投稿者 kotani : 16:53 | コメント (9) | トラックバック (0)

« 2007年04月記事一覧 | トップ | 2007年07月記事一覧 »

ホーム サイトマップ 掲載メディア お問合せ ヘルプ ご支援のお願い
ログイン melit.jp 2005 All Rights Reserved ご利用上の注意 このサイトの理念 リンク・著作権 制作協力