今年の日本シリーズは、北海道日本ハムファイターズが優勝。新庄ブームにドラゴンズが飲み込まれた格好でした。6年前、私が無菌室でみた日本シリーズは、王・ダイエー(現ソフトバンク)と星野・中日の決戦でした。とにかく無菌室ではやることがありません。英語の分厚い本も夜読むと眠れなくなるので、日没で読書はおしまい。日本シリーズの全試合をプレ一ボールからゲームセットまですべて見ました。こんなことはおそらく最初で最後でしょう。
中日のホームゲームには、末期ガンのミュージシャン、池田貴族が観戦に来ていました。名古屋出身の彼は熱狂的な中日ファンだったのです。「美憂」という名の幼い女の子を遺してこの年のクリスマスに、彼は帰らぬ人となったのです。ダイエーのシリーズ制覇が決まった翌日には、中村江里子似の主治医と年配の看護師さんが、「ダイエーのバーゲンが楽しみ」と主婦の会話をしていました。テレビ東京は、高倉健が中日ドラゴンズの監督を演じたハリウッド映画を平日の昼間に流していました。ドラゴンズが敗退した翌日だったから、トホホっていう感じがしないでもなかった。
星野仙一は、鳥取の隣県岡山の人で、高校(倉敷商業)時代は東中国大会決勝で米子南高校に敗れ、甲子園出場の道を断たれています。わが郷土と因縁浅からぬ彼には好感をもっていました。また、幼くして父親を亡くし、苦労をした彼は、足長育英会への支援を惜しみません。私もあやうく太郎と骨子を遺児にしかかったので、この点では星野仙一には手を合わせたい気持ちすらあります。ところが…。
無菌室を出てしばらく日の過ぎた11月なかばのこと。テレビは、「天皇在位10周年記念式典」の映像を伝えていました。ぐれいだとかえっくすじゃぱんだとか、異様な風体をしたロックミュージシャンが天皇の在位10年を寿ぎ奉る歌を歌っています。くりびつてんぎょう!ロッカーって欧米では、反体制の象徴ではないのさ?おりから国会では、盗聴法をはじめとする物騒な法案の審議が進んでいました。ああ、日本は変な国になった。翼賛体制の復活だ。生きていてよくなかった。放射線の雨に打たれて、あのまま死んでいればよかった…。そんな思いが私の脳裏を駆け巡ります。とどめをさしたのが、かの星野仙一です。「天皇陛下、バンザーイ!」。うぐぐ。やはり彼は明大野球部の恩師、島岡吉郎の衣鉢を継ぐ右翼だったのでしょうか。
この後、中日・阪神と彼の関わるチームをどうにも応援する気にはなれませんでした。まあ、ナベツネからの巨人軍監督要請を断ったので少しは見直したところですが…。
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