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2006年02月12日 社会との接点

 妹が短大を卒業し初めて社会と接したのは、
中小企業の会社員になったときでした。
 手先が少し不自由でしたが頑張って電話
交換手の免許を取り、彼女なりの夢を持って
就職しました。
   08  kisetunomado.jpg
          イラスト;季節の窓さんより

 電話交換手の講習では電話での接客を習います。
 人前では緊張してしまうので交換手ならば彼女に合う
仕事だろうと家族は簡単に考え、さほど心配しませんでした。
 父は病気がちで、私達姉は嫁いで家を出てましたので、
彼女の仕事での悩みは母に話してたようです。
 雇用側の会社としては交換手でも一通り各部署を回らせる
ことが決められていたようで、緊張しやすい妹は各部署で
仕事に時間がかかり失敗も多くあったようでした。
 いわゆるいじめのようなものもあったようです。

 半年経った頃会社に行きたくないと母には言ってたようですが、
母は一生懸命真面目にやっていれば、電話の仕事も回ってくると
いつも激励ばかりしていたようです。
 過保護で育てられたことと、生来の脳の気質にかなりの
ストレスが加わりこの2年間で脳がダメージを受けたのでしょう。
 明確な原因はわかりませんが、発病してしまいました。

 交換手の席はそう容易に空くものでないことと、電話交換機が
どんどん進化していき、妹には付いていけなかったこととで
発病と同時に辞職しました。

 主治医は趣味程度の簡単な仕事は許可してくださったのに、
母は彼女を家事手伝いをさせながら自分の身近に居させて、
外との接点を積極的に持たせようとしませんでした。
 親戚にも彼女の身体が生まれつき弱いからと言って、
病名は明かしませんでした。
 母と違って父は社会との接点を持たせようと、あれこれ
助言し、一時期は毛糸の器械編みを習いながら、配達物の
仕分けのパートの仕事をしていました。
 会社勤めのような社会の急激な流れや波に関係あるものには
融通の利かない妹には無理だったのです。
 
 単調な流れの仕事をコツコツと頑張って続けられそうと家族皆が
喜んでいたところ、彼女を信じて薬の服用中止と聞かされてたこと
が全く違っていて、勝手に自分で服用しなくなっていたことがわかり、
すっかり病状が元に戻り仕事どころではなくなりました。

 薬物療法の治療が元の軌道に戻る数年の間、彼女は事故で
右大腿を二度も骨折し、ますます社会に出ることが少なくなり
対人関係に親戚でもとても緊張するようになった気がします。
 
 ただ彼女はつくづくラッキーと思うのですが、短大以来の友人で
身内に同じ病気のかたがいて、今でも妹にやさしく接して下さる
人がたったひとりいることです。
 その彼女の友人は御主人を新婚2年目で亡くされ、お子さんも無く
孤独でいらしたのでしょう。妹に何かできるということで救われている
といつも言ってくださり、年末年始は泊まり泊まられのありがたい
お友だちです。
 その友人は御自分の仕事が休みのときには、半ば強制的に妹を
外に連れ出してくださったりもし、閉じこもりにならなくて済みました。
 外との接触で、妹自身の思い込みが大きすぎることや幻聴が現実
でないことや学生時代のように人を信じることという感覚を取り戻せた
と思います。

  最近の妹は、その友人や教会の優しい仲間や牧師さん、それに外来で
会う同じ疾患の人のおかげで、人様にしてもらうばかりでなく今自分に
無理せずできることは何かとようやく考えられるようになりました。
 もうひとつは、おそらく年齢的なこともあって、脳の敏感度が落ち着いて
きたのかもしれません。
 最近は家族を幻聴で巻き込むことが無くなりました。
 落ち着くことによって、買い物なども以前のように緊張して汗だくになる
ことがなくなりました。

 何でもあきらめないでいてほしい、世の中棄てたものではないと
私はよく思います。
 人はやはり一人ではないのです。誰かが知らず知らず見つめていて
くれてる気がします。

投稿者 miuras : 2006年02月12日 20:49
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